企業の危機管理事始め
今回から本HPにおいて,「企業の危機管理AtoZ」と題して,連載することと致しました。
本連載では,企業活動に不可避に内在するトラブルと,それに対する対処法について,法律家としての視点から,その対応策を説明したいと思います。
今回は第1回と言うことで,まずは「危機管理事始め」と題して,企業における危機管理において,いの一番に注意すべき点についてご説明いたします。
3つのポイント
これまでの弁護士活動で,多数の企業からトラブルや危機管理についてのご相談を承り,対応してきた経験を元に,企業の危機管理についての3つの重要なポイントをご紹介します。
1 トラブルは必ず発生します!
どんなに注意していても,企業活動を行っている限り,トラブルは発生します。トラブル発生の種は無限にあり,その芽を全て事前に摘むことはできません。そのことをまず認識した上で,社内において危機管理の対応スキームをしっかり構築することが重要です。特に重要なのは,社内におけるトラブルについての情報共有ルートの構築です(その他,後述のチャックポイントをご覧下さい)。
2 トラブルは初期対応が全て!
どんなトラブルも,発生の最初は小さな事柄です。ところが,初期対応を間違ったり,対応を後回しにすると,そのトラブルが徐々に拡大し,場合によっては企業の存亡の危機にまで発展することさえあります。まず,トラブルが発生した場合に,その情報を社内で迅速に共有し,対応部署や担当者を定め,対応策を協議した上で,的確に対応することが基本となります。特にトラブルが発生した場合に,発生した部署において対応が面倒くさいと感じ,後回しにすることがないよう,社内教育等を行っておくことも肝要です。
3 トラブルは,企業活動の糧となり得えます!
トラブルはそれぞれ個性があり,同じものは二つとありません。しかし,トラブルには必ず共通した事項があります。ひとつのトラブルの発生→対応→解決の流れには,その後のトラブルを未然に防ぐヒントが沢山隠れています。そこで,一つのトラブルの経緯を,今後のトラブルを防ぐ教科書として,社内で共有し,ケーススタディとして役立てることを検討しましょう(特に顧客からのクレームはより良い企業活動のための重要な情報源です)。
社内危機管理のチェック
危機管理として必要な事項をチェック方式で挙げますので,検討してみてください。貴社において,以下の10のチェックポイントの内,6ポイント以上チェックが付く場合には,要注意です!
□1 日頃からトラブル発生の可能性について,社内で想定し,それにどう対応するかの検討の機会を設けているか。
□2 同業他社のトラブル発生事例を,常に情報収集して,それを社内で共有できているか。
□3 取引の過程や社内の勤怠管理などについて,全て記録を残すようなシステムとなっているか。
□4 トラブルが発生した場合の情報伝達ルートが社内でしっかり構築されているか。
□5 トラブル内容ごとに,対応する部署や担当者などが決まっているか(またはすぐに決められるような仕組みを設けているか)。
□6 具体的なトラブル対応マニュアルが社内で作成されているか。またそれに対応した社内教育は随時行われているか。
□7 トラブルが発生したときに,初期対応としてそれを放置しないような社内の準則が定まっているか。
□8 トラブルに対応する外部支援のチャンネルが構築されているか(弁護士・警察・行政など)
□9 トラブル対応に掛かる費用について,経理において事前に計上しているか。
□10 トラブル解消後に,社内に対応策や教訓等をフィードバックする施策は採られているか。
「企業のリスク管理その他のご相談は、WILL法律事務所(TEL06-6130-8008)弁護士森直也まで。
『本HP連載を見た』とお伝えいただければ、初回相談(電話or面談)を1時間まで無料とさせていただきます」